設計を進める中では、さまざまな図面を作成します。
一般的によく知られているのは、間取りを表す「平面図」ですが、実際の設計ではそれ以外にも、断面図、立面図、展開図、電気設備図など、多くの図面を使いながら建物の内容を伝えていきます。
これらの図面は、お施主さまに計画内容をご説明するためだけではありません。施工者へ設計意図を正確に伝えたり、確認申請などで行政機関へ建物の内容を説明したりするためにも必要です。
その中でも、特に細かな部分を表現するために作成するのが「詳細図」です。
平面図から詳細図へ
住宅の計画初期では、一般的に1/100程度の縮尺で間取りを検討します。
1/100の図面では、図面上の1cmが実際の1mに相当します。全体の構成を考えるには適した縮尺ですが、収納の納まりや建具、素材の切り替えなど、細かな部分まですべて表現することはできません。
そこで設計が進むにつれて、1/50、さらに1/20、1/10、1/5と、より大きな縮尺の図面を作成していきます。
必要に応じて、実物と同じ大きさとなる1/1の原寸図を描くこともあります。
建具枠を例にした詳細図
掲載している図面は、住宅で使用した建具、つまりドア枠の詳細図です。
ハウスメーカーや量産住宅では、建具や建具枠に既製品を使用するケースが多くあります。
一方、イクスデザインでは、空間に合わせて建具を一つひとつ設計し、天然木を使って職人さんに製作してもらうことがあります。
そのため、同じ住宅の中でも、場所によって建具枠の形状や納まりが異なります。
今回の住宅では、建具枠について8種類の詳細図を作成しました。
図面には、枠を縦方向から見た断面、横方向から見た断面だけでなく、使用する金物、木材の種類、塗装方法なども記載しています。
こうした情報を一つひとつ図面に落とし込むことで、設計者が考えている形や素材感を、施工する職人さんへ正確に伝えていきます。
詳細図は、完成後には見えにくい仕事
詳細図は施工者へ向けた図面のため、お施主さまとの打ち合わせで直接お見せする機会はそれほど多くありません。
打ち合わせでは、図面だけでなく、完成写真やCG、実際の素材サンプルなどを使いながら、できるだけ分かりやすくご説明しています。
一方で、その裏側では、細かな納まりを検討し、施工者へ正確に伝えるための詳細図を数多く作成しています。
詳細図は、完成した建物を見ただけでは分かりにくい部分ですが、空間の印象を整えるうえではとても重要な仕事です。
細部の積み重ねが、空間の完成度をつくる
詳細図を作成するには、見た目以上に多くの検討と時間が必要です。
数ミリの位置関係や、木材の厚み、壁との取り合い、金物の見え方など、一つひとつを確認しながら図面を描いていきます。
「神は細部に宿る」という言葉がありますが、建築も同じで、こうした細かな部分を丁寧に設計するかどうかによって、完成した空間の印象は大きく変わります。
掲載した詳細図をもとに製作されたのが、完成写真の木製建具です。
図面の段階では線でしかなかったものが、職人さんの手によって実際の木材として形になり、空間の一部となっていきます。
設計事務所の仕事は、間取りや外観を考えることだけではありません。
目に見えにくい細部まで設計し、施工者と共有することも、建物の完成度を高めるための大切な設計プロセスだと考えています。