住宅の完成形を、図面だけで正確にイメージすることは簡単ではありません。
平面図や立面図から間取りや寸法は読み取れても、実際の空間で感じる広さや素材の組み合わせ、光の入り方まで想像するのは、建築に慣れていない方にとって難しい部分があります。
そこでイクスデザインでは、一つの案だけを提示するのではなく、窓の位置、素材、色、照明などを変えた複数のCGを作成し、それぞれの違いを比較しながらデザインを決めていくことがあります。
今回は「House in Chikusa」を例に、テレビまわりのデザイン、LDKの仕上げ材、そして工事中に変更した吹き抜けの仕上げについて、どのように検討したのかをご紹介します。
テレビまわりのデザイン提案
テレビは、LDKの中でも視線が集まりやすく、空間全体の印象を左右する要素のひとつです。
最近では壁掛けテレビを採用するケースも増え、テレビの大型化に伴って、壁面の構成や窓の位置についても以前より慎重に考える必要があります。
House in Chikusaでは、窓の配置や壁面仕上げの異なる3つの案をCGで比較しました。
同じ間取りでも、窓の位置や壁の素材が変わるだけで、テレビまわりの見え方や空間の重心は大きく変わります。
複数案を並べて比較することで、「どれが良いか」だけでなく、「なぜこちらの方が空間に合っているのか」をお施主さまと共有しやすくなります。
最終案では、テレビの両側に縦長の窓を設け、壁を一部ふかしてタイルと間接照明を組み合わせました。
テレビまわりを一つの壁面として整えることで、機器だけが目立つのではなく、LDK全体の中に自然に馴染む構成を目指しています。
設計時に寸法を決めて終わるのではなく、実際に購入されるテレビのサイズが決まった段階で、壁の幅や間接照明、テレビボードとのバランスも現場で確認しながら調整しました。
完成した空間がこちらです。
LDKの仕上げ材を比較する
LDKでは、床を白いタイルにしたいというお施主さまのご希望がありました。
そこで白い床を基準に、家具に使用する木材をウォールナットにする場合とオークにする場合、さらに天井の一部を板張りにする場合など、複数の組み合わせをCGで比較しました。
素材は、一つひとつを単体で見ると魅力的に感じても、同じ空間に組み合わせたときに印象が強くなりすぎることがあります。
床、家具、天井、壁などをCG上で同時に確認することで、素材同士のバランスや、空間全体の明るさを判断しやすくなります。
今回は念のため、床をフローリングに変更した場合のCGも作成しました。
当初の希望とは異なる案も一度確認しておくことで、「やはり白いタイルの方がこの住宅には合っている」と納得したうえで選択できます。
完成後のLDKでは、白い床をベースに木や家具の色が程よくアクセントとなり、明るく落ち着いた空間になりました。
工事中だからこそ分かることもある
設計段階でできる限り検討していても、建物が実際に形になってくると、図面やCGでは分かりにくかったことが見えてくる場合があります。
空間の大きさ、天井の高さ、自然光の入り方、周囲の素材との関係など、現場に立つことで初めて感じられる部分もあります。
そのためイクスデザインでは、工事が始まった後も必要に応じて仕上げを再検討します。
House in Chikusaでは、階段吹き抜けの壁を工事途中でタイル張りに変更することになりました。
階段吹き抜けの仕上げを再検討する
仕上げを変更する際も、感覚だけで決めるのではなく、複数の選択肢を比較しました。
お施主さまとショールームへ行き、実物のタイルを確認したうえで候補を選定。その素材をCGへ反映し、完成した場合の見え方を確認しました。
複数案をCGで確認することで、空間全体のバランスとして良いタイルを採用しました。
完成した写真がこちらです。
CGだけでなく、実物の素材も確認する
CGは、空間全体のバランスや色の組み合わせを比較するうえで非常に有効です。
一方で、素材の細かな凹凸や光沢、手触り、実際の色味まですべてをCGだけで判断することはできません。
そのため最終的な素材選びでは、できるだけ実物のサンプルを確認します。
House in Chikusaでも、個室の一面をアクセントカラーにする検討をはじめ、さまざまな仕上げ材のサンプルを現場へ持ち込み、お施主さまと一緒に確認しました。
小さなサンプルを事務所で見る場合と、実際の現場で自然光や照明の下で見る場合では、同じ素材でも印象が異なることがあります。
CGで空間全体を確認し、実物サンプルで素材そのものを確認する。
それぞれの方法を使い分けながら、完成後のイメージを少しずつ具体的にしていきます。
完成イメージを共有しながら設計する
図面を見ただけで完成した空間を想像し、素材や色を次々と決めていくことは簡単ではありません。
だからこそイクスデザインでは、できるだけ「分からないまま決める」ことを減らしたいと考えています。
図面だけでなくCGを使って複数案を比較し、必要に応じて実物サンプルやショールームで素材を確認する。そして、工事が進んだ後も実際の空間を見ながら必要な調整を行う。
こうしたプロセスを重ねることで、お施主さまと設計者ができるだけ同じ完成イメージを共有しながら、家づくりを進めていくことを大切にしています。