2019年11月25日 Architecture, Diary, Travel
最近というよりは、かなり前にはなってしまうのですが、広島県福山、尾道方面へ建物探訪へ出掛けていたので、その事をこちらでも紹介させてもらおうと思います。
最初に訪れたのは、現代芸術家の名和晃平さんが手掛けられた、禅寺である神勝寺の境内に建つアートパビリオン『洸庭』へ。
自然溢れる庭園の中に柱によって地面から浮かされた建物というよりは舟形の物体。
どなたかが言っていた、舟というよりは、“フィナンシェ”のようという表現の方が正しいかもしれません。
どちらにしても、普段目にしている“建物”の固定概念では見れず、完全に建物が“アート”中で行われているインスタレーションも五感を研ぎ澄まして感じる素敵なものでした。
洸庭のある神勝寺には他にも広大な敷地の中に茶室や様々な施設があったのですが、他にも建物探訪をする都合で早足で見学させてもらいました。
そのなかでも藤森照信さんの設計による寺務所の『松堂』は藤森さんらしい銅板葺きの屋根の頂上に松が植えられていたり、垂直ではないプリミティブな柱の回廊。
人間の手と自然が織りなす素敵な建物。
神勝寺の後は、近くにある藤本壮介さん設計の常石造船という会社の社宅『せとの森住宅』とマウントフジアーキテクツさん設計の『SETOハウス』へ。
『せとの森住宅』は山の法面を活かして、敷地内に切妻屋根の建物が点在して景色を作っています。
建物の外壁と屋根にステンレスの鏡面仕上げの小波板を使用し、空の青や木の緑を反射する事で天気や季節によって見え方が変わる、面白い建築でした。
『SETOハウス』は昔ながらの地方の景色に存在感ある圧倒的な跳ね出しの水平、垂直を強調したコンクリートの塊というのが印象的な建築。
海を臨める明るいテラスとは対照的に共用部の廊下は階段の吹き抜けから落ちて来る光のみの薄暗さ。
とても対照的なコンセプトの2つの社宅。自然に寄り添っていこうとする『せとの森住宅』と無機質なコンクリートの塊の『SETOハウス』
どちらが良いかはその人の考え方次第ですが、住み比べるのも楽しそうですね。
名古屋市を拠点に住宅、店舗、クリニック等の設計を行う『イクスデザイン』
http://www.iks-d.jp